関西人間図鑑  【第7回  

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日本にはペットに対しての環境がない
 日本では簡単に動物が買える。ファッション感覚やモノ扱いで飼い、途中で放棄する。動物の虐待に対しては法的処分も甘い。飼い主に見捨てられた動物たちは、野良となって保健所で処分されるか、身も心もズタズタになって死を迎えるかだ。
 語気を強めて語るオリバーさんの目の前には、書類の詰まったファイルが何冊も積み上げられている。「大きくなったから」「近所に苦情を言われたから」、そんな理由で引き取ってほしいという、飼い主たちの相談がギッシリだ。なかには、夜中にこっそりとここへ動物を捨てに来る人もいる。
「毎日かかってくる引き取り依頼の電話や心のない行動は、私の中でとてもストレスになります」 オリバーさんは大きなため息をついた。
動物を縄でつないでおくことさえも"罪"

 オリバーさんが生まれ育ったイギリスでは、動物保護の歴史が古い。法律によって動物たちが守られる一方で、飼い主の意識も高い。ペットの首に埋め込むことを義務づけられたマイクロチップで迷子になっても飼い主が特定できる。法的条件が厳しいこともあってペットショップは極端に少ない。犬を家の前で繋ぐことさえも違法なのだ。英語の講師として日本に来た彼女は、日本の動物に対する現状と母国との差を目のあたりにする。そして、日本ではペットの命が軽いことを知り、愕然とした。  
 講師をしながら、オリバーさんは個人で動物の保護をはじめた。しかし、彼女の助けを求める動物は後をたたず、給料のほとんどがその費用へと消えていく。動物の保護と治療、不妊・去勢手術、里親さがし。ひとりで助けていくには限界があった。


 


≪分類≫
ARK代表目 
マザー科

≪生息地≫
大阪府豊能郡能勢町

≪年齢≫
62歳


≪分布≫
全国各地

≪活動時間≫
24時間

≪好物≫
旅行・クロスワードパズル

≪相棒≫
動物たち

≪天敵≫
心ない飼い主

 
取材・文/チノナツコ