関西人間図鑑  【第5回  

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誰もが見たことのある、誰も見たことのない場所
 廃虚となった街に主人公が帰ってくる。よく知っている風景、よく知っている場所。誰かに追われているような感覚のなか、夢なのか現実なのかがわからないまま主人公は街を徘徊しつづける……。2000年の作品『偽絵師町』のワンシーン。アニメーションを合成させた顔のわからない登場人物や、ロケ地の軍艦島から連想するのは、まず寂寥感だ。 
 ところが、観ているうちに不思議な感覚にとらわれる。懐かしさが足元からゆっくりと這い上がってくる。
「だれもが共有できる映像があると思うんです。むかし、田舎のおばあちゃんの家にあった、あまり入ったことのない部屋とか、今はもうなくなってしまった近所の公園とか。記憶はあいまいなんだけど、たしかに見たことがある、そんな場所」


 


≪分類≫
淋派目 
映像科

≪生息地≫
大阪市

≪年齢≫
不祥


≪分布≫
河原や場末

≪活動時間≫
24時間

≪好物≫
タバコ、カレーライス

≪相棒≫
P-shirtsの中島伸一

≪天敵≫
音楽

 
取材・文/岸良ゆか