関西人間図鑑  【第5回  

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みんなが洋服を着るように、僕は和服を着る

 堀江のまんなかに、作務衣と下駄で現れた。歩くたびにカラコロと音が鳴る。通行人から好奇の目で見られても気にしない。
「みんなが洋服を着るように、僕は和服を着ているんです」
 彼にとって、作務衣は普段着だ。
「あ、それに僕、琳派だから」
 思い出したようにそう付け加える。江戸時代の日本画流派・琳派でのことだ。
「芸術表現に決まりがないところがいい。日本画だけでなく、今でいう空間デザインのようなこともしていたんです。俵屋宗達の100年以上あとに尾形光琳が大成させたように、琳派は継承されるものじゃない。勝手に名乗って映像を続けたら、本当に琳派になれるかも(笑)」
 まだ見ぬ未来の美術史に、平成の琳派として藤原件の名前が刻まれる可能性だってある。



 


≪分類≫
淋派目 
映像科

≪生息地≫
大阪市

≪年齢≫
不祥


≪分布≫
河原や場末

≪活動時間≫
24時間

≪好物≫
タバコ、カレーライス

≪相棒≫
P-shirtsの中島伸一

≪天敵≫
音楽

 
取材・文/岸良ゆか