関西人間図鑑  【第27回  

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売ることも大事、だけど……
「僕、オリジナルの処女作は絶対売らへんようにしてるんです」
 作品一つひとつには、その時の苦労や喜びなどさまざまな思いが込められているという。特にお客からの注文がない限り、同じ作品を作ることはない。    
 もちろん、商売をしている以上、お客の要望に応えるために大量生産型の既成品に近いものを作らなければいけないこともある。それは食べていくために必要なことだ。
「でも、それが第一になって売れたらいいって考えで商品作ってたんじゃ、自分の感性に自信が持てなくなるでしょ?」そう言う。必ずしも売ることに固執しない。それは自分の作品に自信を持っているからだ。
「僕、なにかを作る作業は好きやからね。きっと死ぬまでバッグ作ってるんちゃうか」
 その顔には、相変わらず陽気な笑顔が浮かんでいた。
■05年12月22掲載。データなどは掲載当時のものです。


 


≪分類≫
創作目 
革バッグ製作科

≪生息地≫
大阪・南久宝寺

≪年齢≫
53歳


≪分布≫
神出鬼没

≪活動時間≫
9時〜18時

≪好物≫
音楽

≪相棒≫
4度盗まれても帰ってきたマウンテンバイク

≪天敵≫
具の多い味噌汁

 
取材・文/國澤 汐  写真/大久保由紀