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自分らしい作品をつくるために…… |
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バッグづくりは誰にも教わらず、独学で学んだ。
「グッチやらエルメスなんかの高級ブランド店に行って、ひたすらバッグを眺めてたな」
ジーパン、Tシャツというラフな格好で出向き、遠慮しながらブランドのバッグを手に取り見ていた。
20歳の頃、本格的にバッグ製作で商売をしようと決意。“アンタは革のこと知りすぎてるからなぁ”と、問屋で嫌がられるほど、革についての知識を詰め込んだ。どんな道具も自分の作業に合わないと感じたら改造した。
「最近の若いもんは“道具がないから出来ません”なんて平気で言う。自分で工夫しようとせぇへんねん。道具がなかったら作ったらえぇ」
一切手抜きはしない。革の選定から裁断、縫製まですべて一人でこなし、手間ひまをかけて作り上げる。
「そうすることで僕らしさの出る作品が出来るねん」 |
手の喜ぶ仕事が一番 |
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「僕がバッグを作り始めたときの作品ですわ」
そういって店頭に並ぶバッグを見せてくれた。デザインにしても形にしても、既成品とは違うおもしろさがある。バッグの表面に施された、グルグルと渦を巻き、寸分の狂いもない見事な模様はすべて手縫いで仕上げたものだという。
「もう一回作れって言われたら、勘弁してくださいってゆうわ」
そう言って笑う。何も考えず“創作”に没頭して作り上げた作品は、作り手の熱を帯び、それだけにイキイキとしている。
「オリジナルのもんを作ったろうとか、よそにないもんを作ろうとか、そういうのはどうでもいいねん。僕は手の喜ぶ仕事をしたいだけや」
手間もコストも関係ない。革を見た瞬間から頭の中に浮かぶイメージを形にしていく。ああだこうだと試行錯誤しながらの製作こそ、手が喜ぶ仕事なのだ。 |
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≪分類≫
創作目
革バッグ製作科
≪生息地≫
大阪・南久宝寺
≪年齢≫
53歳
≪分布≫
神出鬼没
≪活動時間≫
9時〜18時
≪好物≫
音楽
≪相棒≫
4度盗まれても帰ってきたマウンテンバイク
≪天敵≫
具の多い味噌汁
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