関西人間図鑑  【第22回  

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平和な絵
 たくさんの作品に出会って、春画の魅力が自分の中で一気に広がったという。葛飾北斎や喜多川歌麿といった名画家たちが描いた作品は優雅だし、見習いらしき人の作品はどこかコミカル。
「表情もね、リズムがあっておもしろいの。手足は指のひとつひとつに動きがあって色っぽい。それに顔。見て、このお姫様。自由で楽しそうじゃない? この人たちも、二人だけの世界って言うか、まぬけな顔してるでしょ」
 言われるままよぉ〜く見てみる。見るほどに、なんだかへらっと笑えてきた。ハレンチと言うより、人間味のある絵だな。そう感じた。
「本来の人の姿って、これなのかなって思うの。裸になればおんなじ。殿も姫も農民も、みんな自由でまぬけ。ふふふっ……でも、平和だと思わない?」


 

≪分類≫
日本美術目 
染色科

≪生息地≫
京都・太秦

≪年齢≫
47歳


≪分布≫
京の街

≪活動時間≫
24時間

≪好物≫
描いたり考えたりする時間

≪相棒≫


≪天敵≫
描いたり考えたりすることができなくなった自分
 
取材・文/チノナツコ