関西人間図鑑  【第14回  

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ちゃんとやったら、オモロイ
 新聞記者になりたかった。本多勝一氏の『殺される側の論理』や『ルポルタージュの方法』からは多大なる影響を受けた。朝日新聞の入社試験を受けたが、失敗。就職浪人することを決め、翌年の試験までリクルートで求人広告のアルバイトをすることにした。
「当時はバブルで求人が多く、毎晩徹夜で作業してましたね」
 慣れてコツをつかむと、寝ながらページを作れることができるようになった。だが、「半年くらいしてからかな。制作課長から原稿をビリビリに破られたんですよ。求人広告として成立していないって……」腑に落ちなかった。  
 その日も滞りなく取材を終えようとした、そのときだ。おっちゃん社長が「100万借りてきたから、これでええ人みつけてや」と、熱いまなざしで訴えてきた。初めて文字の向こう側に相手のカオを見る思いがした。真剣に人材を探している人と、真剣に職を探している人。“広告”を橋渡しとして、人の人生にかかわれる。
「ちゃんとやったら、オモロイんやな」
 目からウロコが落ちた。


 


≪分類≫
弱者目  
就職情報科

≪生息地≫
リクルート
B-ing・とらばーゆ編集部

≪年齢≫
38歳


≪分布≫
キタ区

≪活動時間≫
9時半〜24時

≪好物≫
セブンスター(毎日軽く3箱)

≪相棒≫
ドトールのコーヒー(真冬でもアイス)

≪天敵≫
警察官

 
取材・文/中村 神無