Since 【第9回  

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4 200年先を見る
「今、廃棄水を再利用する装置を作っているんです」
 そう言って店の窓際に置いてある水槽を指差した。きれいな水に魚が泳いでいる。
「あの水は6年間ずっと取り替えていないんですよ。でも澄んでいるのは、装置を使って好気性と嫌気性のバクテリアが共生できる空間をつくりだしているからなんです」
 浄水器を使えば人間はきれいな水が手に入る。しかし、きれいな水もやがて生活排水となって自然を汚していく。
「水は人間だけのものではないんです。廃棄水再利用装置を使ってあらゆる水をきれいにして地球に戻したい。それが私のこれからの仕事だと思うんです」
 そのために、NPOの設立も考えている。
「水のサイクルは1年や2年じゃなにも変わらない。だから、200年先のことを見据えながら動いています。こういう仕事って自分が“やっている”というよりも、天から与えられた仕事と思うことすらありますね」
 目標は「浄水器がいらない世界」。200年後、自社のビジネスがもはや必要ない世界になっていることを願っている。
ソナーのツボ
防水・止水工事事業および、アクア事業部『ウォーターショップ水来』の経営。『水来』では国内外の名水を販売。また、大阪の水でつくったミネラルウォーター『天人の水』を使い、喫茶メニューを提供している。
■03年10月1日掲載。データなどは掲載当時のものです。


 

≪KEY PERSON≫

板屋 務氏(57歳)

≪COMPANY DATA≫

●創業●
1980年2月

●設立●
1989年7月

●事業内容●
防水工事・施工、『ウォーターショップ水来』の経営

●所在地●
大阪市北区天神橋4-7-12



 
取材・文/細山田 章子  写真/滝沢 稔