Since 【第21回  

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2 働くラガーマン
 中学生のときラグビーを始めた。高校時代もラグビー三昧。帝京大学のラグビー部に進むと、4回生でキャプテンになった。
「練習は厳しいしプレッシャーはあるし、辞めようと思ったこともありますよ。でもね、スタジアムに響く歓声とかスポットライトとか、あれを一度経験するとやめられなくなるんです」  
 大学卒業後は神戸のアパレル会社に入社。もちろんラグビーは続けたが、一方で配属部署の企画生産部でも精力的に仕事をこなした。
「ラグビーだけと思われるのがいやだったんですね。毎日定時に仕事を終えて、そのあとでラグビーの練習。でも練習が終わってから会社に戻って残業してました。体力には自信があったし、なにより仕事が楽しくなっていったから」
 入社から8年後、彼はついにユニフォームを脱いだ。
3 究極の選択
 仕事に専念してもっと勉強したい。おぼろげに頭の中で描いていた"起業"の2文字が、この頃から急速に現実味を増していく。
「行動に踏み切ったきっかけは、旨い餃子との出会いです。単純にこの味を広めたいと思ったし、事業としての手ごたえもあった」  
 きっぱり会社を止めると、その餃子店に通って店主からレシピを学ぼうとした。しかし、餃子への想いや事業計画を熱弁しても、店主はなかなか首を縦に振ってくれなかった。
「でもね、こっちに熱意があれば気持ちは伝わる。ある日、『一年自分で店をやれたら考えてやる』って言ってくれたんです。それで、大阪の宗右衛門町に4坪の小さな店を開きました。夕方6時から朝6時まで働いて、売上は600円。吉野家の牛丼か帰りの電車賃か、いつも悩んでましたね。あと、コンビニで廃棄処分の弁当をもらったりしてました。ついさっきまで500円だった弁当が、まるで魔法をかけたみたいにタダになってしまう。それがおもしろくてね」


 

≪KEY PERSON≫

杉本 昌秀氏(39歳)

≪PROFILE≫

[出身地]
大阪府

[趣味・特技]
犬とじゃれること

[座右の銘] 
協心


≪COMPANY DATA≫

●創業●
2000年12月

●事業内容●
餃子専門店、洋菓子製造販売、カフェレストランなど飲食店の運営、衣料企画販売、輸入雑貨販売

●所在地●
神戸市東灘区田中町3-3-3 ギンナンビル


 
取材・文/岸良ゆか  写真/岸良ゆか