Since 【第20回  

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3 安眠枕
 夫とはすれ違いが多くて離婚。自宅で始めた探偵業はゼロからの出発だった。必要なのはビデオと電話だけ。友人から譲り受けた軽自動車にママチャリを押し込んで、相手を待ちぶせる。Tシャツの下にタンクトップを着込み、バレそうになったら上着を脱ぐという、まるでコントのようなこともやる。
「ある人から、依頼するまで眠れなかったのに、今はグッスリだって言われました。私の代わりにエンジェルさんが見張ってくれているからって」
 依頼者にとって、エンジェルは安眠枕のような存在だ。
「なんでこんな仕事をはじめたんだろうって、何度も思いましたよ。それでも続けられてきたのは、最初から投資せずに済んだビジネスだったからだと思います」
 事業で開業するためにそれなりの資金が必要だ。しかし、「開業に必要だったのは“私”だけやったし(笑)」
 失うものがなかったから、気負わずにやってこれた。
4 真実のあと
 依頼者のほとんどは女性。彼女たちの勘は90%当たっているというから、女は本当に恐ろしい! 一方、男性依頼者になると、その確率はガタンと減る。単なるやきもちが多いからだとか……。
「現場を押さえた写真、見ます?」
 顔の表情まではっきりと写った証拠写真に、思わず口がぽか〜んと開いてしまった。これじゃあ、「私じゃない」なんてごまかしようがない。
 正確で緻密な報告書も魅力のひとつだが、他社との大きな違いはアフターサービスが充実していることだ。顧問弁護士をつけ、慰謝料の請求方法から離婚後に独りで子育てをする大変さまでレクチャーする。
「一時的な感情で簡単に離婚を決めてしまうのは危険。その後のこともちゃんと考えてほしいんです」
 子ども連れの依頼人には「お母さんがお父さんの悪口を言っているのを、お子さんに聞かせてはいけない」と、託児サービスも完備している。同じ経験を持つ母親だからこそ、できるサービスがある。


 

≪KEY PERSON≫

山崎 世美子氏

≪PROFILE≫

[出身地]
大阪府

[趣味・特技]
人間ウォッチング、統計

[座右の銘] 
頑張らずに頑張る


≪COMPANY DATA≫

●創業●
1997年10月

●事業内容●
離婚相談・浮気調査を専門

●所在地●
大阪市阿倍野区阪南町5-23-15澤井ビル502


 
取材・文/チノナツコ  写真/チノナツコ