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4 机持参の新入社員
「ウチには机があらへんから、机を持ってきたら入れてやる」立田の言葉を真に受けて、ある朝、本当に机を運びこみ、晴れて新入社員となった人たちがいる。
 20人ほどの社員が動きまわるオフィスは、今も創業当時のビルの中だ。4坪の創業地は空のダンボールやチラシ、什器などが無造作に置かれた倉庫にかわっていた。この倉庫から、ドン・キホーテは風車へ向かって突撃してきた。「たしかに、よく似てる。一度走り出したらそのエネルギーはすごい」と社員の一人が言った。
「なんか『こんなもんがあったらエエな』と思うようなこと、ないか?」唐突に尋ねてきた。絶えず、向かっていく目標を探している。ただの風車にしか思えないものでも、彼には“NEXT ONE”という怪物に見えているのかもしれない。
大和通商のツボ
外食や流通業界などでは知る人ぞ知る同社。『笑い栗』がデパートやスーパーなどで好評発売中だ。現在は、茎わさびを使ったオリジナル商品を開発中。
■03年5月15日掲載。データなどは掲載当時のものです。


 
≪KEY PERSON≫

立田 慶三氏 (60歳)

≪PROFILE≫

1942年神戸市出身。
食品会社の青果営業を経験後、退職して2年間渡米。日本にはまだなかったファミリーレストランや、地平線まで続く広大な畑が印象に残ったという。1974年、会社の同僚と大和通商を設立。最初の2年は仕事がなく、港で荷役の仕事をしながら食いつないだ。

≪COMPANY DATA≫

●設立●
1974年4月

●事業内容●
農水産物の輸出入及び販売

●所在地●
神戸市兵庫区本町1-3-19



 
取材・文/細山田 章子  写真/滝沢 稔