Since 【第10回  

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2 お客をだます正値
 1980年代から90年代半ばは、ブティック経営やイタリアブランドの卸業などに精を出していた。
「バーゲン期間の売り上げがプロパー(正値)での販売期間の売り上げよりも多いのが不満やった。バーゲンに来たお客様だけが得をする。それじゃ、正値っていったいなんやねん? バーゲンでしか売れへんのを見越して価格を設定してるなんて、お客様をだましてるんとちゃうの? って思うようになったんや」
 アパレル販売のあり方に不満を抱きつつ、新しい商売を模索するなか、工場と消費者を直接結ぶパイプ役になる構想を思いつく。幸い、オーダーの勉強でよく訪れていたイタリアには人脈があった。それに生地や縫製など品質を見抜く眼には、テーラーの経験に裏打ちされた自信がある。プライベートブランド『インヘイル・エクスヘイル』はこうして生まれた。


 

≪KEY PERSON≫

中西 浩一氏(57歳)

≪COMPANY DATA≫

●設立●
1976年6月

●事業内容●
プライベートブランドの企画・製造・販売、紳士・婦人服、雑貨の販売

●所在地●
京都市下京区松原通烏丸西入ル



 
取材・文/細山田 章子  写真/滝沢 稔